去年ぐらいから、パソコンをほぼ使ったことがない新卒が入ってくるようになった。
話を聞くと、普段スマホしか触ってないらしい。
驚愕の事実に、あっしはほくそえんだ。
その理由を今日は語ってみる。
あっしが社会人になった頃、ITに詳しいというだけで重宝される時代だった。
パソコンの使い方を教えるバイトがあるらしい。
人と話さなくても、プログラム組んでればお金がもらえるらしい。
パソコン使えるだけで仕事になるなんて、いい時代になったな、と思った。
2000年前半の頃だ。
それから数年が経過すると、パソコンはすっかり普及し、学生の頃からパソコンにこなれた若者が社会に出てくるようになる。
プログラマとしても、ばりばりの状態で入ってくるものもいる。
それを見てあっしは思った。これは脅威になりかねんと。
何せパソコンが生活に密着している年代だ。
大学でやっとこさパソコンを覚えたあっしが、学生時代からたっぷり触っている若者にかなわなくなる日がいつかくるのではないか、と不安になったのだ。
そう思ったあっしは、早々にマネジメント志向に舵を切った。
彼らは優秀だが、自分の作業に専念したいためマネジメントは避けたがる。
そっちの領域なら競合が少なそうだと思い、あっしは自ら飛び込んだ。
そうやって今日までなんとか生き延びてきたあっしだが、近年あることに気がついた。
「最近の若者、パソコン使えないってよ!」
ほんとに~?あれ、ほんとだ。
まじかよ。
いまの時代、スマホですむものはスマホでやる。
スマホはめっちゃ使いこなすが、パソコンはほとんど触ったことがない。
そんなスマホ世代が、社会に出てきているのだ。
あっしの会社では、新卒に対して去年からパソコン研修をやりはじめた。
研修前の状態を見ると、さすがに開発部所属のメンバは問題なかったが、他の部署のこは業務に支障が出るレベルだった。
彼らは最初ブラインドタッチもできなかった。
ほぼ初心者のため、基礎から根気よく教える必要があった。
ノートパソコンの使い方、windowsの使い方、ブラウザの使い方、excelの使い方。
パソコンを使う機会が減っているということは、プログラミングに目覚める機会も減っているとは言えないだろうか。
あっしの若い頃の場合、パソコンをいじっているうちに、パソコンでできることがわかってきて、楽しくなってきて、その勢いでプログラミングを独学で身につけた。
同じことが、スマホだけいじってて起こるだろうか。
スマホは主に利用者向けであり、その仕組みについては見える情報が限られている。
それに比べてパソコンは自由度が高い。
パソコンが壊れるぐらい、いろんなところをいじれるし、いろんなことができる。
パソコンを扱える人が減ってくると、パソコンを知っている人が貴重になってくる。
お、これは昔に戻るのか?という淡い期待がでてくる。
「パソコンの電源を直接切るんじゃなくて、windowsの方を終了してね」なんて、15年以上前にあっしがパソコン教室のバイトで生徒のおばちゃんに言ってたことだよ。
今の時代に、同じセリフをいうことになるとは。
時代がもう一度、あっしの寿命を延ばしてくれるかもしれない。
IT様には、足を向けて寝られませんわ。